住む前に日当たりを調べる|日照チェッカー · 第10回 / 全10回
土地を買う前に日当たりを調べる方法|現地で見るポイントと便利なツール
この記事の要点
- 更地に日が当たっていても、建てた家の窓へ同じ日差しが届くとは限らない。地面と窓では高さが違う。
- 確認は現地へ行く前・現地・現地を見た後の3段階に分け、いま建っているものと将来の建築計画を分けて記録する。
- アプリの観測高さは階数設定からの概算で、まだ存在しない家の窓位置ではない。設計は建築士と図面で確認する。

家を建てるための土地を探していると、候補の更地を見に行く日が来ます。日が当たっていて明るく見えますが、実際に日差しが入るのは、そこに建てた家の窓です。地面に立って感じた明るさが、床の上がった部屋の窓や、隣に建物が増えた数年後にも続くとは限りません。
土地の日当たりは、土地だけでなく現状の周囲と将来の建築計画を確認します。アプリは候補を絞る参考であり、日照を保証するものではありません。
結論: 土地だけでなく周囲と将来を見る
更地に日が当たっていても、そこに家を建てた後の窓へ同じように日差しが届くとは限りません。日当たりは、周辺建物の位置と高さ、太陽の動き、計画する家の階や窓、屋根・庇などの組み合わせで変わるからです。
確認は、現地へ行く前・現地・現地を見た後の3段階に分けると整理しやすくなります。
現地へ行く前: 住所検索や地図で敷地の位置を確かめ、現在ある周辺建物、空き地、駐車場、工事中の場所を確認する。PLATEAU対応地域では、周辺建物による遮蔽を含む月別結果を、複数の候補地を同じ条件で比べる材料にする。
現地: 方角を取り、東・南・西側の建物の高さと距離、朝・昼・夕の光、樹木や高低差を記録する。訪問した季節、日付、時刻、天候も残す。
現地を見た後: 計画する家の階、窓の位置、屋根や庇を図面に置き、現地の記録と重ねる。建築士・設計者、不動産会社、自治体へ確認する項目を分ける。

土地は、南側の建物を敷地境界とセットで記録し、向き・高さ・距離を組み合わせて見ます。
「南側なら必ず日が入る」「道路幅が○mなら安心」「○階なら影を越える」といった、すべての土地に通用する保証はありません。候補ごとの条件をそろえて比較し、最後は建築計画と現地で確かめることが大切です。物件全般の確認項目は、物件の日当たりを調べる7つのポイントにもまとめています。
現地で方角を確認
まず、敷地のどちらが東・南・西かを確認します。公図や販売図面の上方向が、そのまま北とは限りません。スマートフォンのコンパスを使い、敷地境界に沿って向きを記録します。磁気の影響で表示が安定しない場合は、少し場所を変え、地図の道路方向とも照合します。
見るのは南だけではありません。東側の建物は朝、西側の建物は午後の光に影響します。朝食や洗濯を重視するのか、昼のリビングや在宅勤務を重視するのかによって、優先する方向も変わります。
敷地に高低差があれば、道路面、建築予定位置、隣地の地盤面も見ます。同じ距離でも地盤の高さが違えば、建物の見え方や影響は変わります。
南側建物の高さと距離
南側に建物があるときは、「ある・ない」だけでなく、高さと敷地からの距離を組み合わせて見ます。高い建物ほど影響しやすく、近いほど太陽への通り道を遮りやすくなります。ただし、影の届き方は季節と時刻、建物の位置関係でも変わります。
現地では、相手の建物のおおよその階数、敷地境界までの距離、道路や駐車場を挟むかをメモします。道路幅だけで判断せず、道路の向こうにある建物の高さも一緒に確認してください。南東と南西にある建物も、午前・午後の光を分けて考えます。
空き地や低い建物がある場所は、現在開けていても将来同じとは限りません。工事看板や公開されている計画があれば記録し、把握できる範囲を不動産会社や自治体に確認します。
朝・昼・夕で確認
一度の現地確認は、その時刻の様子しか示しません。可能なら朝・昼・夕、難しければ暮らしで重視する時間帯を含む2回に分けて訪れます。敷地中央だけでなく、リビングや物干し場を置きそうな位置から、太陽側の建物や樹木を撮影すると後で比較しやすくなります。
写真には撮影位置、向き、日付、時刻、天候を添えます。晴れている日の直射日光と、曇りの日の明るさを同じものとして扱わないためです。アプリが出すのは設定条件に基づく直射日光のシミュレーションで、天気予報や晴天時間ではありません。
季節を変えて考える
夏は太陽が高く、冬は低いため、同じ周辺建物でも影の届き方が変わります。夏に日が当たる更地でも、冬には南側建物の影が長く届く場合があります。反対に、冬の一時点だけを見て一年中の状態を決めることもできません。
無料の12か月グラフでは、同じ地点・同じ観測高さの条件を固定して月ごとの差を比べます。現地訪問月、夏、冬を見てから、重視する時間帯を現地で確認すると、比較条件が混ざりにくくなります。季節差の詳しい読み方は、冬の日当たりを確認する方法で紹介しています。
建築後の窓位置を想定する
土地の検討で最も注意したいのは、アプリ上の観測点と、まだ存在しない家の窓を同一視しないことです。土地上に選択できる建物がない場合、アプリは実際の建築予定階や窓位置を読み取っているわけではありません。
階数設定から求める観測高さは概算です。階を変えた結果は、高さ条件を変えた場合の比較に使えますが、設計した家の日照を検証するものではありません。階高、窓の高さと向き、窓から室内までの奥行き、屋根形状、庇やバルコニーの出によって、室内への光は変わります。
候補地を絞った後は、建築士や設計者に、予定する1階・2階の平面図と立面図へ主な窓を書き込み、周辺建物との関係を確認してもらいます。アプリは将来の自宅建築計画そのものを組み込んで計算する機能ではありません。
アプリで候補地を絞る
日照チェッカーでは、住所検索で候補へ移動し、地図上の任意地点を長押しして観測点にできます。現在地ボタンは地図を現在地へ移すための機能なので、確認したい場所は移動後に地図上で指定します。無料で12か月の月別グラフ、階数変更、データがある建物の詳細を確認できます。
比較は、①候補地点を長押し指定、②同じ階数設定で12か月グラフを比較、③各候補のPLATEAU対応状態を記録し、建物詳細に調査年・作成日などが表示される場合だけ併記、④方角・周辺建物・時刻の現地記録と照合、の順です。同じ階数でも観測高さは概算で、計画窓の高さではありません。

晴海五丁目の建物詳細の例です。画面に見えている範囲では、住所、実測高さ56.1m、地上18階・地下1階、用途「共同住宅」、建物ID、用途地域「準工業地域」、建ぺい率60%、容積率400%などが表示されています。項目は都市やPLATEAUの整備年度で異なり、法的な権利や現在の指定を保証する画面ではありません。建物詳細は無料機能です。
画像はシートの見えている範囲だけを掲載しており、下方の未表示部分を含む全項目を示すものではありません。表示値はPLATEAUの収録データに基づく補助情報です。現在の法令上の扱いや建築可能な内容を確定する資料にはせず、自治体などの最新の公式情報と照合してください。
Proでは、15分刻みの時間帯別タイムライン、PLATEAU建物と影を見る3Dシャドウ、想定する窓向きで絞る方角フィルタを利用できます。3Dシャドウが描くのはPLATEAU整備時点のデータに収録された周辺建物であり、将来建てる自宅の形や室内を再現するものではありません。
アプリは取得したPLATEAUの建物データを使います。将来の自宅建築計画、正確な窓・庇・室内、樹木、将来の近隣建築は計算対象に含みません。天候、日照権などの法的判断、室温や冷暖房費も出力しません。
PLATEAU未対応地域では、周辺建物による遮蔽を含まない参考値となり、3Dシャドウも利用できません。対応地域でも、データの整備時点と現在の街並みが異なる場合があります。
専門家に確認する項目
候補地を絞ったら、確認先ごとに質問を整理します。回答は判断材料の一つとして記録し、法的な結論を自分だけで決めないようにします。
建築士・設計者
- 計画する建物の配置、高さ、各階の床高さを確認した
- リビング、寝室、物干し場などの窓の位置・向き・高さを確認した
- 屋根、庇、バルコニー、室内の奥行きを含めて日差しを検討した
不動産会社・自治体の担当窓口
- 最新の用途地域、建ぺい率、容積率を公式資料で確認した
- セットバック、高さ制限、日影規制など、計画地に関係する条件を確認した
- 周辺で確認できる建築計画や現在の申請について、案内可能な公開情報を尋ねた
- 回答の基準日と参照した資料を記録した
洪水、内水、土砂災害、地震などのリスクは、最新の自治体ハザードマップと防災情報で別に確認します。建物詳細の画像やアプリ表示を、最新の公式な法規・防災確認の代わりにはできません。
日照チェッカーについて
日照チェッカーは、地図で選んだ地点と階数について、周辺の建物による遮蔽を含めた日照時間を計算する iPhone / iPad アプリです。地点検索、階数の変更、12か月の月別グラフ、建物詳細は無料で使えます。日照の計算は端末内で行います。
本記事に載せた日照の数値は、PLATEAU の整備時点の建物データと、記事内に記した設定条件に基づくシミュレーションです。窓、庇、バルコニー、室内の奥行き、樹木、将来建つ建物、天候は計算に含まれません。購入・契約前には現地でも確認し、重要な判断では専門家にもご相談ください。出典: 国土交通省 PLATEAUウェブサイトを加工して利用。