住む前に日当たりを調べる|日照チェッカー · 第07回 / 全10回

夏の内見ではわからない「冬の日当たり」を確認する方法

執筆 Remosia Inc. 公開 2026-08-02 読了 約8分

この記事の要点

  • 夏の内見で窓辺に日が差していても、冬の日当たりは確かめられない。冬は太陽が低く、建物の影が遠くまで届く。
  • 12か月グラフで夏・冬・内見月を同じ地点・同じ階数のまま比べる。季節差を見る間は階を固定する。
  • 冬に再内見できないときは「冬も日が入るか」で終えず、冬の写真の撮影月・時刻・撮影位置を確認する。
同じ街区で夏の短い影と冬の長い影を比較したイラスト

夏に物件を探している方は、窓辺まで日が差す明るい部屋を見て、契約を決めることになります。けれど実際に冬を迎えるのは半年先です。そのときも同じように日が入るかどうかは、内見した日の様子からは確かめようがありません。

夏の内見だけでは冬の日照を判断できません。冬は太陽が低く影が伸びやすいため、12か月の月別結果で夏・冬・内見月を比べる必要があります。

結論: 夏の内見だけでは冬を判断できない

内見した日に窓辺へ日差しが入っていても、その状態が一年中続くとは限りません。太陽が空を通る高さや日の出・日の入りの時刻は季節で変わり、同じ建物の影でも届く範囲が変わるからです。

だからといって、「冬は必ず暗い」と決めつけることもできません。周辺建物の高さと配置、候補住戸の階、窓の方角などによって影響は異なります。「南向きなら冬も安心」という一律の判断も避け、候補ごとに月別で確かめるのが基本です。

確認では、まず無料の12か月グラフで季節差をつかみます。次に、朝・昼・午後のどの時間に日差しが必要かを決め、必要なら時間帯別の結果や周辺の影を詳しく見ます。最後に、シミュレーションに含まれない窓やバルコニー、室内の状態を現地で照合します。

日当たりを調べる項目を季節以外も含めて整理したい方は、物件の日当たりを調べる7つのポイントもあわせてご覧ください。

冬は太陽が低い

太陽は、夏には空の高いところを通り、冬には低いところを通ります。ここでいう「低い」とは、地平線から見上げたときの太陽の高さが小さいという意味です。場所や日付、時刻で変わるため、すべての物件に当てはまる一つの角度はありません。

太陽が高いと、近くに建物があっても、その上を日差しが通る時間があります。反対に太陽が低いと、夏には影響しなかった建物が太陽への通り道に重なることがあります。内見した月が夏なら、窓の前が開けて見えても、冬の太陽から見て同じように開けているとは限りません。

季節差を見るときは、方角だけでなく、太陽と候補地点の間にある建物を見ます。午前、昼、午後では太陽の方向が動くので、窓の正面だけを見ればよいとも限りません。南向きの窓でも周辺建物に遮られる場合があり、別の向きの窓でも暮らしに必要な時間に日差しが届く場合があります。

影が長くなる

太陽が低いほど、建物の後ろにできる影は地面を遠くまで届きやすくなります。同じ遮蔽物でも、夏の高い太陽では影が候補地点まで届かず、冬の低い太陽では届くことがあります。これは、低い位置から照らした懐中電灯ほど、物の影が長く伸びる様子を思い浮かべると分かりやすいでしょう。

ただし、影がどこへどれだけ伸びるかは、太陽の方向、建物の高さ、候補地点までの距離、地面の高低差で変わります。「何メートル離れれば安全」といった固定の距離にはできません。樹木や隣の建物がどの方向にあるかも、現地では確認が必要です。

同じ建物に対する夏の高い太陽と短い影、冬の低い太陽と長い影の比較

太陽が低い冬ほど影は長くなりやすいものの、実際の範囲は候補ごとに異なります。

また、建物の位置まで直射日光が届くことと、室内全体が明るいことは別です。空からの光や反射光、窓の大きさ、内装の色によって、直射日光がなくても明るく感じる部屋があります。反対に、窓辺に日が差しても、深いバルコニーや庇、部屋の奥行きによって室内の印象は変わります。

直射日光が入ることは、室内が暖かいことの保証でもありません。断熱性能、窓の仕様、換気、外気温などが関わるため、アプリの結果を室温や暖房費の予測として読むことはできません。

月別グラフで見る

日照チェッカーでは、同じ地点・階数について12か月の日照グラフを無料で確認できます。夏の内見から冬を確かめるなら、次の順に比べると条件を取り違えにくくなります。

  1. 内見する住所を検索し、地図上で候補の地点を選ぶ。
  2. 実際の候補住戸に合わせて階数を設定する。
  3. 内見月の値を季節傾向として控え、内見時刻・天候・現地の直射日光は別に記録する。
  4. 夏の月と冬の月を選び、同じ地点・同じ階数のまま月別の差を見る。
  5. 候補階が複数ある場合だけ、比較する月を固定して階数を切り替える。

階数の変更も無料です。ただし、階を変えると観察位置の高さという条件も変わります。季節差を調べる途中では階を固定し、階数差を調べるときだけ同じ月で切り替えましょう。年間平均だけで結論を出さず、冬、夏、内見月という暮らしに関係する月を個別に見るのがポイントです。

グラフの各月は、その月の15日について、日の出から日没まで15分刻みで直射日光の有無を判定した結果です。年間平均は、その12か月の結果を単純平均しています。現地で365日測った実測平均ではなく、晴天時間を示す天気予報でもありません。

PLATEAUの3D都市モデルに対応している地域では、周辺建物による遮蔽を計算に含めます。未対応地域では、建物による遮蔽を含まない参考値が表示されるため、周囲に建物が多い候補ほど現地確認を重ねてください。対応地域でも、PLATEAUの整備時点と現在の街並みが異なる場合があります。

冬の時間帯を確認する

月別の合計が分かっても、「朝食の時間に入るのか」「在宅勤務をする昼に入るのか」までは合計だけでは判断できません。まず、自分が日差しを必要とする時間帯を一つか二つ決めます。朝の洗濯を重視する人と、午後にリビングで過ごす人では、見るべき時間が異なります。

Proの時間帯別タイムラインでは、選んだ月の15日について、どの15分枠が日照と判定されたかを確認できます。日付は選択できず、各月15日に固定されています。冬の月を選び、暮らしで重視する時刻の前後を見ると、合計時間だけでは見えない日照のまとまりや途切れ方を把握できます。

PLATEAU対応地域で使えるProの3Dシャドウでは、選んだ月の15日・時刻について、PLATEAUの周辺建物とその影を立体的に確認できます。PLATEAU未対応地域では3Dシャドウを利用できません。これは室内を描いたものではなく、どの周辺建物の影が候補地点の近くへ伸びるかを理解するための表示です。3Dシャドウは方角フィルタとは独立した機能で、窓の方向へ絞り込んだ室内の日差しを再現するものでもありません。

同じ地点・階数・時刻を固定して夏と冬だけを変えると、季節による周辺の影の違いを比べやすくなります。西新宿の一地点で6月と12月を同じ条件にそろえた比較は、同じ場所の6月と12月の影を比べた実例を見るで紹介します。そこで見える差も、その地点と設定に限る結果です。

日照チェッカーが扱うのは、設定条件と建物データに基づく直射日光のシミュレーションです。樹木、窓、庇、バルコニー、室内、将来建つ建物は計算対象に含まれません。天候の予報、日照権や法的な判断、室温・暖房費の見積もりとして使うものでもありません。

冬の日当たり内見チェックリスト

内見前

  • 無料の12か月グラフで、夏・冬・内見月を同じ地点・階数で比べた
  • 年間平均だけでなく、暮らしで重視する冬の月を個別に見た
  • 候補階が複数ある場合は、同じ冬の月に固定して階だけを変えた
  • 朝・昼・午後のうち、直射日光を重視する時間帯を決めた
  • 地図や航空写真で、候補地点の東・南・西側にある建物や空き地を確認した

内見当日

  • 内見した時刻と天候を記録し、月別結果と混同しないようにした
  • 窓辺の直射日光と、部屋全体の明るさを分けて見た
  • 窓の方角、窓の大きさ、庇、バルコニーの深さ、部屋の奥行きを確認した
  • 窓の正面だけでなく、午前と午後に影響しそうな周辺建物を見た
  • 樹木、敷地や道路の高低差、建設中の建物を確認した

不動産会社・管理会社へ確認

  • 冬に撮影した室内写真があるか、撮影月と時刻を添えて見せてもらう
  • 冬の朝・昼・午後のうち、直射日光が入ると把握している時間帯を確認する
  • 売主・貸主や現在の入居者に、冬の日差しについて確認できるか尋ねる
  • 周辺の空き地、建設中の建物、把握している近隣建築計画について資料の有無を尋ねる
  • 回答や写真だけで断定せず、公開情報や現地の状況とも照合する

冬に再内見できない場合は、「冬にも日が入りますか」だけで終えず、冬の写真の撮影月・時刻・撮影位置を確認します。可能なら朝、昼、午後の写真を依頼し、窓から周辺建物まで一緒に写してもらうと比較しやすくなります。近隣の建築計画は不動産会社への確認に加え、自治体の公開情報も確認してください。

日照チェッカーについて

日照チェッカーは、地図で選んだ地点と階数について、周辺の建物による遮蔽を含めた日照時間を計算する iPhone / iPad アプリです。地点検索、階数の変更、12か月の月別グラフ、建物詳細は無料で使えます。日照の計算は端末内で行います。

本記事に載せた日照の数値は、PLATEAU の整備時点の建物データと、記事内に記した設定条件に基づくシミュレーションです。窓、庇、バルコニー、室内の奥行き、樹木、将来建つ建物、天候は計算に含まれません。購入・契約前には現地でも確認し、重要な判断では専門家にもご相談ください。出典: 国土交通省 PLATEAUウェブサイトを加工して利用。