住む前に日当たりを調べる|日照チェッカー · 第05回 / 全10回
マンションは何階から日当たりがよくなる?階数だけでは決まらない理由
この記事の要点
- 「何階以上なら日当たりがよい」という一律の境目は作れない。向かいの建物の高さ・距離・方角・季節の組み合わせで変わる。
- アプリの階数は、建物の高さを階数で割った平均階高を積み上げた近似の観測高さで、実際の窓の位置ではない。
- 階の影響を見るなら、地点・建物・月・方角を固定し、同じ建物の中で階だけを変えて比べる。

マンションの部屋を選んでいると、同じ建物で3階と8階が同時に空いている、という場面に出会います。上の階のほうが日当たりは良さそうですが、その差が価格や家賃の違いに見合うのかはわかりません。「何階以上なら安心」という目安を探しても、向かいの建物が違えば答えも変わるため、ほかの物件の話をそのまま当てはめることはできません。
マンションの日当たりが何階からよくなるかは、一律に決められません。高さ・距離・方角・季節を組み合わせて考え、同じ地点で階だけを変えて比べることが大切です。
結論:何階からとは一律に決められない
同じマンションでは、階が上がることで周囲の建物の影を抜け、直射日光が届く時間が変わる場合があります。ただし、特定の階以上をすべての物件に通用する境目にはできません。
日当たりを左右するのは、候補住戸の高さだけではないからです。太陽との間にある建物の高さ、その建物までの距離、窓の方角、確認する季節と時間帯が組み合わさって結果が決まります。向かいが低い建物でも距離が近ければ影響することがあり、高い建物でも離れていれば影のかかり方は変わります。
また、低層階と高層階のどちらが暮らしに合うかは、日当たりだけで決めるものではありません。この記事では階数に優劣をつけず、候補の階で必要な時間に日差しが届くかを確かめる方法を整理します。

同じ物件でも、光が周辺建物を越える境目は高さ・距離・太陽位置で変わります。
向かいの建物の高さ
最初に見るのは、主な窓と太陽の間にある建物です。建物が太陽への通り道を遮ると、窓の位置は影に入ります。午前なら東から南東側、昼ごろなら南側、午後なら南西から西側というように、時間によって確認する方向も動きます。
ここで大切なのは、「建物の高さ」と「階数」を同じ意味で扱わないことです。同じ10階建てでも、1階ごとの高さ、店舗や吹き抜けの有無、屋上設備によって全体の高さは異なります。候補住戸側も、1階の床が地面からどれくらい上がっているか、敷地の地盤が周囲より高いか低いかで、同じ階数でも実際の高さが変わります。
日照を考えるときに必要なのは、単なる階の番号ではなく、光を確認する位置と、遮る建物の上端との位置関係です。
日照チェッカーは、選択した建物の高さを画面に表示する階数で割り、平均的な1階分の高さを求めます。階数情報がない、または高さに対して不整合な場合は、1階約3mを目安に表示階数を推定し、その階数で建物高さを割ります。建物高さを取得できない場合や、最終的な平均階高が2〜8mの範囲外の場合は、平均階高として3mを使います。その高さを各階に同じように当てはめ、1階は推定した地表面から1.2m、2階はそこから平均階高1階分、3階は2階分というように足した位置を観察点にします。地表面も周辺建物のデータから推定したものです。
そのため、店舗階だけ天井が高い建物、吹き抜け、住戸ごとの窓の高さ、正確な敷地の段差までは個別に再現しません。アプリの階数は実際の窓位置を厳密に示すものではなく、同じ方法で候補階を比べるための近似条件として読みます。図面や現地では、店舗部分の高さ、敷地の高低差、屋上の構造物、窓の位置も確認しましょう。
建物までの距離
向かいの建物が同じ高さでも、候補住戸との距離によって影の届き方は変わります。距離が変わると、窓から向かいの建物の上端を見上げる角度も変わります。その角度より太陽が低ければ建物に遮られ、高ければ上を通るため、建物の高さと距離は組み合わせて考えます。
ただし、「道路を1本挟めば大丈夫」「何メートル離れれば日が入る」という一律の目安も作れません。道路幅が同じでも、向かいの建物の高さ、候補階、窓の向き、太陽の位置が違えば結果は変わります。
地図を見るときは、建物同士の直線距離だけでなく、主な窓から遮りそうな建物までの間に何があるかを確認します。建物が斜め前にある場合は、窓の正面だけを見ても不十分です。午前と午後で太陽の方向が変わることを意識し、東側から西側まで周囲を見渡します。
冬の太陽高度
冬は夏より太陽が低い位置を通るため、同じ建物の影が長く届きやすくなります。夏の内見で窓辺に日差しがあっても、冬には離れた建物の影がかかる可能性があります。長く住む候補なら、内見した月だけでなく冬の状態も確認したいところです。
一方で、階数による差が冬に最大になるとは限りません。太陽が窓の方角にある時間、建物の配置、方角によっては、季節ごとの変化の仕方が異なります。冬は影が伸びやすいという関係を手がかりにしつつ、実際の候補では月ごとの結果を比べます。
日照チェッカーの12か月グラフは無料で確認できます。夏と冬の棒の長さだけで結論を出さず、候補階ごとに同じ月を選び、ほかの条件を変えずに差を見るのがポイントです。
同じマンション内で比較する
階数の影響を知るには、同じマンション、または同じ候補建物の中で、階だけを変えて比べます。別の建物の1階と5階を比べると、周囲の建物や地盤、方角まで変わり、何が差を生んだのか分からなくなるためです。
日照チェッカーでは階数の変更と12か月グラフの確認を無料で使えます。無料の範囲で比較するときは、評価条件を「全方角」に固定し、次の順で行います。
- 住所を検索し、地図上で同じ建物・同じ地点を選ぶ。
- 評価条件を「全方角」にし、両方の階で変えない。
- まず候補の階を選び、年間の傾向と気になる月の値を控える。
- 地点、建物、月、方角の条件を動かさず、比較する階だけに変える。
- 年間平均だけでなく、冬、内見月、暮らしで重視する月を決め、各階で同じ月を見比べる。
特定の窓方向へ絞り込む方角フィルタはPro機能で、無料の階数変更や12か月グラフとは別です。方角フィルタを使って階を比べる場合は、両方の階で中心方角とセクター幅を同じ値に固定します。数値をメモするときは、「同じ地点・同じ月・全方角・1階」のように条件を一緒に残すと、後から取り違えにくくなります。
実在地点で1階と5階を同一条件にそろえた比較方法は、同じ地点の1階と5階を比べた実例を見るで紹介します。そこで得られる差はその地点と設定での結果であり、すべてのマンションへそのまま当てはめるものではありません。
階数以外に見る条件
シミュレーションで直射日光が届くと表示されても、室内全体が同じように明るいとは限りません。直射日光は太陽から直接届く光です。室内の明るさには、空からの光、向かいの壁や地面からの反射光、窓の大きさ、内装の色なども関わります。直射日光がない時間でも明るく感じる部屋もあれば、窓辺に日が差していても部屋の奥は暗い場合があります。
深いバルコニーや庇、奥まった窓は、建物の位置まで届いた日差しをさらに遮ることがあります。窓の高さと大きさ、部屋の奥行き、間取りも体感に影響します。階数を比べるときは、住戸の間取りやバルコニー形状が同じかも確かめましょう。
日照チェッカーは、設定地点と階数に対して、PLATEAUの建物データを使い、周辺建物による直射日光の遮りを計算します。バルコニー、庇、実際の窓、室内の間取り、反射光、樹木、将来の建築計画はシミュレーション対象外です。
PLATEAU未対応地域では、周辺建物による遮蔽を含まない参考値が表示されます。対応地域でもデータの整備時点と現在の街並みが異なる場合があるため、再開発や空き地の建築計画は自治体の公開情報、不動産会社や管理会社への確認、現地確認で補います。
内見チェックリスト
- 募集図面と現地で、候補住戸の階と主な窓の方角を確認した
- 窓の正面だけでなく、東・南・西側の遮りそうな建物を確認した
- 向かいの建物の階数だけでなく、おおよその高さや店舗階、屋上設備を見た
- 道路、庭、駐車場など、窓から向かいの建物までの空間を確認した
- 敷地や道路の高低差、候補住戸の床の高さを確認した
- 無料比較では同じ地点・建物・月・全方角を固定し、候補階とその上下階を比べた
- 12か月グラフで、内見月だけでなく冬の月も確認した
- バルコニー、庇、窓、部屋の奥行き、間取りを確認した
- 窓辺の直射日光と、部屋全体の明るさを分けて見た
- 樹木、空き地、将来の建築計画を現地と公開情報で確認した
日当たりを方角や現地確認まで含めて整理したい方は、物件の日当たりを調べる7つのポイントもあわせてご覧ください。
日照チェッカーについて
日照チェッカーは、地図で選んだ地点と階数について、周辺の建物による遮蔽を含めた日照時間を計算する iPhone / iPad アプリです。地点検索、階数の変更、12か月の月別グラフ、建物詳細は無料で使えます。日照の計算は端末内で行います。
本記事に載せた日照の数値は、PLATEAU の整備時点の建物データと、記事内に記した設定条件に基づくシミュレーションです。窓、庇、バルコニー、室内の奥行き、樹木、将来建つ建物、天候は計算に含まれません。購入・契約前には現地でも確認し、重要な判断では専門家にもご相談ください。出典: 国土交通省 PLATEAUウェブサイトを加工して利用。